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死して屍拾う者無し

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マニアックベルリン/ナチ編

あらかじめ断っておきますと。
今回の旅行記は決して楽しく明るい旅行記じゃ
ござんせん。

アタイは9日間もベルリンに居たので
思う存分行きたい所へ行って
今まで見れてなかったところを
余すところ無く訪れて
見たいものをとことん見よう!
とプランしてて。
人に遠慮すること無く
気兼ねする事無く。
通訳する事無く。
好き放題な旅ってことで。
なので。
すんごいマニアックです。
はっきり言って
新年早々見るには暗いし重い。
写真もどんより天気だし。
アタイには超興奮と感動と感銘の連続で
楽しくて楽しくてしょうがなかったけど。
「新年心気一転だぜ!」って思ってる人は
なるべく読み飛ばした方が良いかも。
そんな旅行記です。
マニアックですんませんねえ。

まずは。
マニアック・ベルリン/ナチ編からスタート!

ナチスにまつわるところは今までいろいろ
見てまわってるんですけど。
意外にもベルリンでは見落としてたところも多くて。
というか。
アタイは説明書きを読み飛ばすクセがあるので
行った事あるのに気がついてなかった・・・
ってのがままあるのです。

今回泊まっていたホテルから歩いて行けるところに
ベルリンの壁跡地があったんですけど。
なんとそこは壁跡地というより
もっともっとスゴイ場所だったことを
このたびクロネコの知るところとなったのでした。
マニアックベルリン/ナチ編_c0016407_6224990.jpg

ベルリンの壁に目を奪われがちだけど。
ここはよくよく見ると別の展示もやってて。
今はプレハブ展示と青空展示しか無いけど
いずれちゃんとしたミュージアムを建てる計画があるとか。
そう。
ここは1933年から1945年までの間
ゲシュタポ本部建物があった場所なのでした。
ゲシュタポとはナチスドイツの
ゲハイムニス・シュターツ・ポリツアーイ
(秘密国家警察)の通称でございます。
あのホロコーストの最終決定もここでなされて。
多くのユダヤ人虐殺命令もここでなされて。
なおかつ。
ナチス親衛隊(SS)本部もここにあったとかで。
とにかく。
ありとあらゆるナチスドイツがやらかしたこと
すべての指令がここから出ていたわけなのです。
マニアックベルリン/ナチ編_c0016407_6475337.jpg

それゆえか、このエリアの名前は
「テロ跡地/刑務所館」と名づけられてました。

ぬぬぬ・・・。
重い。
重いです。

もともと芸術学校として使用していた建物だった
ようですけど、戦争と同時に軍に主要な建物は
押収されて占拠されたようです。
まあ当然ですわな。
ヒムラー長官がここからバシバシ命令を
出しまくってたわけですわな。

終戦近くになると連合軍の砲撃で
建物もめちゃくちゃになってしまい
ナチスが降伏した時にはもうボロボロに。
戦後建物を取り壊して、長い間その跡地は
放置されていたようです。
ナチスドイツの残虐さからかドイツ人も
触れたくない過去だったのかも。
そしてこのゲシュタポ本部があった通りは
ベルリンの壁が出来てしまったこともあって
本当に何十年も荒れ果てたまま放置されていたようです。
今となってはベルリンのもっとも中心部に位置する
わけなんですけどね。
まあだからこそゲシュタポ本部があったんでしょうけど。
壁崩壊後、ドイツ人も徐々に歴史に目を向けるようになり
やっとこれからミュージアム建設のめどがたったようです。
っていう記述さえもほんの半年前から
出来たみたいですから、
ナチスドイツの歴史がどれだけドイツ人に
大きな重みを与えてるかが分かる感じですねえ。

この通りはかつては
「プリンツ・アルブレヒト通り」という名前だったんですけど
今は「ニーダー・キルヒェ通り」に変わってます。
ドイツでは忌まわしい過去がある場所は
割と名前を変える傾向があるかも。

「テロ跡地」からテクテク10分くらい
ブランデンブルク門方面に歩いていくと。
そこにはマンションの駐車場があります。
そして看板がひっそりと立っています。
マニアックベルリン/ナチ編_c0016407_6493576.jpg

ここは何の跡地かと言いますと。
「アドルフ・ヒトラー最期の地」でございます。
おお。
おおお。
そうなのです。
歴史的に総統はここで自決したとされています。
おお。
おおお。

かつてこのマンションの地下一体にはナチス本部
地下防空壕基地があったのです。
「ヒトラー最後の7日間」という映画をご覧に
なった人なら、「ああ、あそこね。」って
分かるかもですね。
ってアタイはまだ見てなかったりするんですけど。
DVD持ってるからそのうち見ようと思いつつ
1年が経過してる・・・。

看板には防空壕基地の間取り図があって
今の地図と比べるとかなりの広さだったことが
分かるようになってます。
でも、本当にひっそりと看板が立っているだけ。
けどこれさえも、ほんの半年前に
立てられたのです。
ヒトラー最期の地をおおやけにすると
ネオナチの聖地になるのでは・・・
ってことで長らく秘密にされてたそうです。
ネオナチどころか、近所のお子様が
遊んでるだけでしたけど。
そこには平和がありました。

感慨深いなあと一人てくてく歩いてたら
ロシア国旗が目に付いたので
ロシアン喫茶に入ってみた。
店内にはロシア人ビジネスマンがいるだけ。
すんげえ異空間。
超たのしー。
店員もロシアン。
で、ふと思いだしたけど。
この喫茶店ってば、ロシア大使館のすぐ裏にある。
・・・。
ぼ、ボロニウム?
危険な香りかも?
と一人でスパイ気分を味わってみた。
ボルシチ食べながら。
いいなあ。
モスクワに行ってみたいなあ。
マニアックベルリン/ナチ編_c0016407_78433.jpg


またまた気分をナチス時代に戻して。
今回初めて知ったモノがいーっぱいあるんだけど。
それだけベルリンは奥が深いってことなんだけど。
ベルリンにはとっても便利なミュージアムが
あります。
その名も「STORY of BERLIN」。
英語名にしてある時点で、観光客を意識してる。
場所も繁華街にあるし。
ベルリンはこの100年だけで歴史に
翻弄されまくってる街なんですけど。
それを一気に知ることが出来るという
便利なミュージアムです。
かなり演出効果過多なので
英語とドイツ語が分からなくても
音と展示だけですごく楽しめる作り。

ベルリンという街が出来て、
中世時代を経て、街として成長していく様から
第一次世界大戦に突入していく様子
人々の暮らし等とっても分かりやすく
展示してあります。
ナチス時代への見せ方がまた凄くて。
階段を3フロア分くらいおりていくと
徐々にナチス時代へと進む感じになってて。
壁にはナチスのスローガンが書かれてて
階段を下りる心理効果と
徐々にファシズムに染まってくる雰囲気が
いっしょくたになってきて
くらーい気分を味わえるのです。
そして階段を下り尽すとそこは
ナチス一色の戦時下ドイツ。
本を敷き詰めた床を歩かされ↓
(当時ナチスにあわない本は焼かれた)
マニアックベルリン/ナチ編_c0016407_746311.jpg

カギ十字(ハーケンクロイツ)のオブジェを眺めつつ↓
マニアックベルリン/ナチ編_c0016407_7473314.jpg

効果音はナチスのスローガンやら
飛行機の飛ぶ音やらで臨場感満点。
これは当時の暮らしぶり↓
マニアックベルリン/ナチ編_c0016407_7475573.jpg

ちょっと演出過多っぽいのでアミューズメント色を
感じてしまいそうになるけども。
それでも新しい情報がたくさんあったので
アタイは楽しめた。
また行きたいくらい。
ベルリン初心者にはちょっとヘビーかもしれないけど
ベルリンの真実を知るには一番手っ取り早いので
旅行者には超オススメ。

けどリアルを追い求めるアタイとしては
もっと違うものが見たいなあって気もしてて。
そんな中「技術ミュージアム」にも雪降る中行ってみた。↓
マニアックベルリン/ナチ編_c0016407_774835.jpg

今まで行きそびれてたってのもあるけど。
技術好きな大親友karoが来たら
一緒に行こうと思ってて。
とはいえ。
技術系にゃああんまし興味の無いアタイ。
期待もせず行ったんだけど。
コレが凄かった。
一見の価値アリ。
技術ミュージアムっていうよりも
電車、飛行機、船を展示してたので
どっちかっていうと「交通博物館」に
近いかなあと。
けど、その展示内容が凄かった。
ハンパ無かった。
さすがはベルリンって感じで。

もともとここは電車の終着地点(日本語が分からん)
だったようで。
線路やらを残したままミュージアムを
建ててるようなのです。
ってそれに気がついたのはkaroなんだけど。
アタイは気がつかなかった。おほほ。
マニアックベルリン/ナチ編_c0016407_7133285.jpg

マニアックベルリン/ナチ編_c0016407_715678.jpg

そんでかつての駅舎の様子が
ミニチュアで再現されてて、
鉄っちゃん風なオジイサン職員が
楽しそうに模型電車を走らせてるのです。

ここには色んな電車が展示してあったんだけど。
ナチス時代の鉄道もあった。↓
マニアックベルリン/ナチ編_c0016407_715532.jpg

けど。
何よりすごかったのがこちら↓
マニアックベルリン/ナチ編_c0016407_7162667.jpg

今まで色んな本でも写真でも見たし、
色んな映像でも見たことあったし、
アウシュビッツにまで行ったアタイだけど。
あそこにさえも置いてなかった。
だから本物を見たのはコレが初めて。
これは第二次世界大戦中、
ホロコーストでユダヤ人を強制収容所に
運んだ貨物車両。
正真正銘本物。
中にも入れた。
でもものすごく緊張した。
この中に何百人ものユダヤ人が詰め込まれて
立ったまま何十時間も何百キロも
運ばれて最終地点アウシュビッツまで
連れて行かれたんだ・・・と思うと。↓
マニアックベルリン/ナチ編_c0016407_719137.jpg

こんなものを展示してるなんて凄すぎる。
そしてこの貨物車両が存在してること自体が
嘘のようですごくすごく驚いた。
とにかくこのミュージアムはコレを見れるだけでも
すごく行く価値があると思う。

他の展示フロアにはナチス空軍飛行機なども
ありました。
かつての形のまま存在していなくて
補修されてますけど。↓
マニアックベルリン/ナチ編_c0016407_7275398.jpg


それにしても。
ベルリンでこんなにもナチスの歴史に触れられるとは
思いもよらなかったな~というのが
正直なところ。
もともとナチスドイツに興味があったのが
ドイツに来るきっかけだったんだけど。
大学時代初めてドイツに来てみたら
ナチスに関するものが驚くほどどこにも無くて
それはそれは拍子抜けしたんですよね。

ドイツ人は反ナチ教育を徹底させていたから
ナチス展示はたとえ歴史展示とは言えご法度!
という風潮が長らくあったんだろうなと
思われます。
特に旧西側の街なんかでナチスの遺物を
見るのなんて今でも不可能に近いと思われます。
(強制収容所跡地はあるけどね)
ドイツ人自身が歴史に向き合うようになったのは
ごくごく最近なのかも。
だからこーんなにナチス物を見れたのは
アタイとしても意外だったなあと。

今回時間が無くてまだ見れて無いところも
あるので、それは次回のお楽しみってことで。
やっぱりベルリンは深いわ!

あ、あとこちらはおまけ。↓
ベルリン市内のアンティークピアノショップに
飾ってあるこのピアノは、
なーんとなんと!あのロマン・ポランスキー監督の映画
「戦場のピアニスト」で使われたピアノなのだそうです!
街を歩いてたら偶然見かけたんですけど、
ちゃーんと「映画で使用されました」って言う
説明書きがしてありました!
つまり。
エイドリアンが弾いたってことっす!!!
あのナチス将校の前で弾いてるシーンです!
音もちゃんとこのピアノの音を使ったみたいっす。
すっげー!
感動、サウンド、ローランド!
マニアックベルリン/ナチ編_c0016407_7283977.jpg


ああ、ほんとに重苦しい旅行記ですんません。
けどまだまだ続きますよ~。わはは
by kuronekomusume | 2007-01-03 07:20 | 旅行記 | Comments(4)
Commented by sora_atmosphere at 2007-01-03 23:37
東ドイツ編から見ていたのですが、おおおおお。
私も興奮と同時に鳥肌です。
ゲシュタポ本部建物や統括最期の地など、どちらにあるのでしょうか。ガイドブックには載っているのでしょうか。

やはり、ドイツの歴史は深いですね。
Commented by kuronekomusume at 2007-01-04 05:31
soraさん、こんばんは。
こちらこそ今年もどうぞよろしくです。
ここ数年ドイツ旅行ガイドブックを見て無いので
載せてあるかどうかわからないです。
ゲシュタポ本部跡は「Topografie des Terrors」という
名前がついていて、Niederkirchner Strasseにあります。
Potzdamer Platzから歩いて5分もかからないので
すぐ分かる場所です。

総統最期の地はひっそりと看板が立ってるだけですが
ブランデンブルク門から徒歩5分以内なのでそんなに難しくないです。
Gertrud-Kolmar-Strasseという通りにあります。
Commented by sora_atmosphere at 2007-01-05 01:07
クロネコさん。
有り難うございました。

いつか行ければいいのですが。絶対行きたいなあ。
Commented by kuronekomusume at 2007-01-05 08:16
soraさん。
ぜひぜひ行ってみてください!
まだまだ私も見つけきれてない場所や、
知らない場所がたくさんあるので、
ベルリンに行くたびにいろいろ見てみたいな~と
思ってます。ガイドブックに載ってないナチスの
足跡探索~。エキサイティングです。