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死して屍拾う者無し

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映画評/「sword of doom」

「Sword of Doom」
主演:仲代達也、新珠三千代、内藤洋子等
監督:岡本喜八
公開:1966年
邦題:大菩薩峠

ちょっとクラシック映画を見たので感想を。
岡本喜八監督の大菩薩峠がドイツラントで
かなり手の込んだパッケージになってDVD化されてて
19ユーロだったので大分前に買ってたんだけど
こないだやっと見た。
完全ネタバレなので見たい人は読まないでね。
映画評/「sword of doom」_c0016407_873891.jpg


ストーリー:
時は江戸末期。
仲代達也は凄腕剣士。
道場の跡取りを掛けた宇津木氏との試合が
翌日予定されているものの、
八百長試合を父親から言い渡されていて
不満がつのるあまり、大菩薩峠を巡礼していた年寄りを
切り殺してしまう。
その巡礼に付き添っていた孫娘の内藤洋子は
たった一人の肉親を誰かに殺されてしまい悲しむ。

仲代のところには宇津木氏の妻の新珠三千代が
妹と偽りたずねてきて、体を売る代わりに
明日の試合を負けてほしいと頼まれる。
仲代は承知したのに試合で宇津木を殺してしまう。
そしてそのまま新珠三千代と江戸へ逃げる。

一方、宇津木の弟(加山雄三)は仲代を倒すため
江戸の道場へやってくる。
道場の師範、三船敏郎に鍛えてもらい決闘を
申し込むものの宇津木は新珠も殺し、
京都の新撰組に加勢する。
芹沢鴨に頼まれ敵を暗殺する仕事に従事し
半分新撰組に加担する仲代。
そしてある日新撰組メンバーと遊郭で
宴を催しに出掛けると、なんとそこには
大菩薩峠で祖父を殺された孫娘、内藤洋子が働いてる。

新撰組の内部分裂によりその場で
大立ち回りをやらかす仲代・・・。
映画評/「sword of doom」_c0016407_881770.jpg

っていうのがストーリかな。
入り組んだ内容の割に、結構ちゃんと筋が通ってるし
運命の皮肉のように出演者が微妙に
絡み合う人生を送ってるのが面白い。
古い映画なのに良く出来てるなあ~と
思いながら見てたんだけど
最後の最後がちんぷんかんぷんだった・・・。
っていうかあの終わり方ってありなのか?
って感じだった。
仲代達也が炎の中で狂いながら新撰組の
メンバーを切り倒してるシーンで終了なんす。
え?って感じ。
あだ討ちはどうなったんだろ?
って疑問点を残しつつ仲代が死んじゃったのかな?
って勝手な解釈をするしかない結末。
時間切れだったのかな?とか。

でも原作の方はあの後も続いてるみたいなので
まああの終わり方くらいしかまとめる方法が
無かったのかもしんない。
映画評/「sword of doom」_c0016407_884858.jpg

この映画は古い映画なのに非常に面白い。
キャラクターの描き方もナイスだった。
なんつーか仲代達也ってやっぱり名優だねえ。
アタイ見てて感心しちゃった。
殺陣が上手いだけじゃなくて、
ひょうひょうとした雰囲気を持ってるのよね。
かなりどうしようもない悪人キャラなのに
なーぜか憎めないんだよ。
老人は殺すわ、約束は破るわ、
嫁は殺すわで本当に最悪なんだけど
見てる方は割りと彼に味方したくなるんだよねー。
何だろあの不思議な魅力は?!
仲代氏の持つパワーなのか、
そういう役柄なのか?といえば
絶対仲代氏の力だと思う。
今時縁起の上手い役者でもこんな不思議な力を
漂わせてる人って居ないよね?
仲代氏すげえ!!!て思った。
あの目といい、けだるい動きといい。
とにかく目が離せなくなる魅力を持ってる。
あの映画を撮った時、多分仲代氏は30代中盤くらいかなと
思うんだけど(もっと若いかも)
若くしてあの魅力を放てるのはやっぱりスゴイことよね。
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映画を見るに当たって配役の名前を見ずに
見てみることにしたんだけど
主役の仲代氏は最初誰だか分からなくて
どっかで見たことあるよなあ~と思いながら見てた。笑
でも途中であの目でわかった。
あ、仲代達也だ!ってね。笑

でもねえ、他の役者さんは誰が誰だかさっぱりだった。
とはいえだよ。
キラリと光る演技をする人たちが中に何人か居て
すごーくすごーく印象に残ったのよね。
で、あとで誰だろう?って調べてみたら
かなり納得の配役だった。
あー、あの人か!!!って感じで。
どれもこれも演技派ばかりで
道理で気になったわけだー。
名優は若い頃から名優なんだね。

となると今騒がれてる若手の名優さんたちは
今後もずーっと名優であり続けるってことだから
彼らの作品は一生楽しみってことになるね。
すばらしい!

アタイが一番気になったのが道場の師範。
(写真右側の人ね)
恐ろしく品のある人だなあと思ったら
世界の三船だった。
ひえええ。
威厳あるたたずまいはさすがやねえ。
そんで写真左側の若造君がなんと加山雄三なんだよ。
これまたインパクトのある若者で
初々しい感じを好演してるんだけど
若かりし日の加山さんだとはねえ。
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あとね、芹沢鴨役の人もかなり気になるなあ
と思ってたら佐藤慶さんだった。
えー!
ってくらい見た目が違いすぎて気づかず。
佐藤慶さんは若い時も渋い演技だったんだねえ。
何か感動。

天本英世さんも出てたみたいだけど
どの役だったかさっぱり思い出せない・・・。
田中邦衛氏は今も昔も変わらぬ見た目なので
すーぐ分かったけどね。笑

往年の名優さんたちの若い頃の演技を
楽しめるクラシック映画って面白いね!
古い映画はニッポンでDVDを見ると音が割れてたりして
見づらい場合があるんだけど
ドイツラントでDVDを買うとドイツ語字幕も設定できるので
聞き取れない部分は字幕でカバーできるという
利点があるんだよね。
ドイツラントで手に入るクラシック映画は
黒澤とか小津作品。
どれもほとんど見てないので今後は要チェックかな。

映画評価は、
☆☆☆☆:星4ツ(非常に良く出来てる!)
by kuronekomusume | 2008-09-08 08:22 | 映画評 | Comments(0)