「Sword of Doom」
主演:仲代達也、新珠三千代、内藤洋子等
監督:岡本喜八
公開:1966年
邦題:大菩薩峠
ちょっとクラシック映画を見たので感想を。
岡本喜八監督の大菩薩峠がドイツラントで
かなり手の込んだパッケージになってDVD化されてて
19ユーロだったので大分前に買ってたんだけど
こないだやっと見た。
完全ネタバレなので見たい人は読まないでね。
ストーリー:
時は江戸末期。
仲代達也は凄腕剣士。
道場の跡取りを掛けた宇津木氏との試合が
翌日予定されているものの、
八百長試合を父親から言い渡されていて
不満がつのるあまり、大菩薩峠を巡礼していた年寄りを
切り殺してしまう。
その巡礼に付き添っていた孫娘の内藤洋子は
たった一人の肉親を誰かに殺されてしまい悲しむ。
仲代のところには宇津木氏の妻の新珠三千代が
妹と偽りたずねてきて、体を売る代わりに
明日の試合を負けてほしいと頼まれる。
仲代は承知したのに試合で宇津木を殺してしまう。
そしてそのまま新珠三千代と江戸へ逃げる。
一方、宇津木の弟(加山雄三)は仲代を倒すため
江戸の道場へやってくる。
道場の師範、三船敏郎に鍛えてもらい決闘を
申し込むものの宇津木は新珠も殺し、
京都の新撰組に加勢する。
芹沢鴨に頼まれ敵を暗殺する仕事に従事し
半分新撰組に加担する仲代。
そしてある日新撰組メンバーと遊郭で
宴を催しに出掛けると、なんとそこには
大菩薩峠で祖父を殺された孫娘、内藤洋子が働いてる。
新撰組の内部分裂によりその場で
大立ち回りをやらかす仲代・・・。
っていうのがストーリかな。
入り組んだ内容の割に、結構ちゃんと筋が通ってるし
運命の皮肉のように出演者が微妙に
絡み合う人生を送ってるのが面白い。
古い映画なのに良く出来てるなあ~と
思いながら見てたんだけど
最後の最後がちんぷんかんぷんだった・・・。
っていうかあの終わり方ってありなのか?
って感じだった。
仲代達也が炎の中で狂いながら新撰組の
メンバーを切り倒してるシーンで終了なんす。
え?って感じ。
あだ討ちはどうなったんだろ?
って疑問点を残しつつ仲代が死んじゃったのかな?
って勝手な解釈をするしかない結末。
時間切れだったのかな?とか。
でも原作の方はあの後も続いてるみたいなので
まああの終わり方くらいしかまとめる方法が
無かったのかもしんない。
この映画は古い映画なのに非常に面白い。
キャラクターの描き方もナイスだった。
なんつーか仲代達也ってやっぱり名優だねえ。
アタイ見てて感心しちゃった。
殺陣が上手いだけじゃなくて、
ひょうひょうとした雰囲気を持ってるのよね。
かなりどうしようもない悪人キャラなのに
なーぜか憎めないんだよ。
老人は殺すわ、約束は破るわ、
嫁は殺すわで本当に最悪なんだけど
見てる方は割りと彼に味方したくなるんだよねー。
何だろあの不思議な魅力は?!
仲代氏の持つパワーなのか、
そういう役柄なのか?といえば
絶対仲代氏の力だと思う。
今時縁起の上手い役者でもこんな不思議な力を
漂わせてる人って居ないよね?
仲代氏すげえ!!!て思った。
あの目といい、けだるい動きといい。
とにかく目が離せなくなる魅力を持ってる。
あの映画を撮った時、多分仲代氏は30代中盤くらいかなと
思うんだけど(もっと若いかも)
若くしてあの魅力を放てるのはやっぱりスゴイことよね。
映画を見るに当たって配役の名前を見ずに
見てみることにしたんだけど
主役の仲代氏は最初誰だか分からなくて
どっかで見たことあるよなあ~と思いながら見てた。笑
でも途中であの目でわかった。
あ、仲代達也だ!ってね。笑
でもねえ、他の役者さんは誰が誰だかさっぱりだった。
とはいえだよ。
キラリと光る演技をする人たちが中に何人か居て
すごーくすごーく印象に残ったのよね。
で、あとで誰だろう?って調べてみたら
かなり納得の配役だった。
あー、あの人か!!!って感じで。
どれもこれも演技派ばかりで
道理で気になったわけだー。
名優は若い頃から名優なんだね。
となると今騒がれてる若手の名優さんたちは
今後もずーっと名優であり続けるってことだから
彼らの作品は一生楽しみってことになるね。
すばらしい!
アタイが一番気になったのが道場の師範。
(写真右側の人ね)
恐ろしく品のある人だなあと思ったら
世界の三船だった。
ひえええ。
威厳あるたたずまいはさすがやねえ。
そんで写真左側の若造君がなんと加山雄三なんだよ。
これまたインパクトのある若者で
初々しい感じを好演してるんだけど
若かりし日の加山さんだとはねえ。
あとね、芹沢鴨役の人もかなり気になるなあ
と思ってたら佐藤慶さんだった。
えー!
ってくらい見た目が違いすぎて気づかず。
佐藤慶さんは若い時も渋い演技だったんだねえ。
何か感動。
天本英世さんも出てたみたいだけど
どの役だったかさっぱり思い出せない・・・。
田中邦衛氏は今も昔も変わらぬ見た目なので
すーぐ分かったけどね。笑
往年の名優さんたちの若い頃の演技を
楽しめるクラシック映画って面白いね!
古い映画はニッポンでDVDを見ると音が割れてたりして
見づらい場合があるんだけど
ドイツラントでDVDを買うとドイツ語字幕も設定できるので
聞き取れない部分は字幕でカバーできるという
利点があるんだよね。
ドイツラントで手に入るクラシック映画は
黒澤とか小津作品。
どれもほとんど見てないので今後は要チェックかな。
映画評価は、
☆☆☆☆:星4ツ(非常に良く出来てる!)