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死して屍拾う者無し

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映画評/「ブラックスワン」

ブラック・スワン
主演:ナタリー・ポートマン、ヴィンセント・カッセル
監督:ダレン・アロノフスキー
公開:2011年


ただ今公開中のナタリーの最新作を
映画館で先週見たので感想を。
って言うか。
こんな暗い映画をよくぞまあ
この精神状態で見れたよなーって
我ながら自分に驚いてるんだけど。

でもねー。
見終わって思ったんだけど、
演出してるほど暗い映画じゃなかったかも。
精神的におかしくなっていく人を
描いてるだけなので、
そんなのその人の問題だから
見てるアタイは暗くなることは無かったんだよね。

とはいえだよ。
最近また映画が見れるようになってきたから
多少気分が上昇しつつあるんだと思う。
ドイツに帰ってくるときは飛行機の中で
映画とか見る余裕なんて無かったからねえ。
日本に戻る時も落ち着きがなくて
見れなかったし。

映画が見れるってことはある程度
気持ちが大丈夫な時だから
バロメータにはなるね。
おとといもテレビで「Xメン2」を
見れたし。
クロネコはXメンが大好きだからね。

そんなこんなでブラックスワン。

ストーリーは。
ナタリー演じるバレリーナ、ニーナちゃんのお話。
白鳥の湖で新プリマドンナを決める事になって
選ばれたい!と必死に頑張った結果
何とかその役を射止めたものの・・・。
白鳥の湖には「白スワン」と「黒スワン」の
シーンがあって。
プリマドンナは両方を踊らなきゃならない。
可憐でピュアで処女性のあるナタリーは
白スワンのイメージにはぴったりなものの、
映画評/「ブラックスワン」_c0016407_326336.jpg

人を惹きつける女としての魅力を備えた
ブラックスワンが引き出せない。
映画評/「ブラックスワン」_c0016407_3264932.jpg

振り付けしからもその点を再三指摘され
落ち込む。
映画評/「ブラックスワン」_c0016407_32672.jpg

同僚のバレリーナたちが虎視眈々と
自分の役を狙っている中
どうやって役作りをすればいいのか
さらにプレッシャーがかかる。
映画評/「ブラックスワン」_c0016407_3271585.jpg

そこへきて、異常なほど娘に執着する
母との二人暮らしに息詰まりを感じだし。
だんだん精神に異常をきたしだすナタリー。
夢の初舞台が近づく中、どうするナタリー?!

って言うのが主な筋。

白鳥の湖はチャイコフスキーがバレエ舞台用に
書いた恋愛悲劇で、あらすじは・・・

魔法に掛けられたオデット姫は白鳥の姿にされてる。
それを見た王子が一目ぼれし、
舞踏会で選ぶ結婚相手は彼女しかいない!
と思うのだが、悪魔がオデットに似せた
黒スワンを舞踏会に送り込んできたため
王子はそっちをオデットだと思いこみ
本物の白いスワンは失意の元、自決してしまい
それに気がついた王子も後追い自決をする・・・

だそう。
なので、黒スワンなるシーンがあるんだね。
アタイはもちろんこの映画を見た後
ウェブで読んで知ったクチ。
そんなレベルで見ても映画のストーリーは
大変分かりやすいよ。
なんてったって、主役のナタリーが
精神的プレッシャーにどう打ち勝つか?
ってのがテーマだからね。

なので、映像もナタリーを追いかけるような
ドキュメンタリー風に編集されてて
その編集の仕方がわりと斬新といえるんじゃ
ないかなーと。
でも最初はそれが効果的過ぎて画面が揺れまくって
気持ち悪くなるっちゃーなるかな。
個人的に好きだなーと思ったカメラワークは
なんと言ってもバレエのシーン。
普通なら観客席から撮ったシーンしか
見れないと思うんだけど、
舞台のそでとか、ナタリーから見た観客席とか
舞台上のダンサーと同じ目線とか
そういうのが非常に臨場感があって
今更感があるくらいロングセラーな題材だけど
でも新しく見れると思う。

それにダンサーたちの日常というか、
鍛えてるところとか、
マッサージしてるところや
レッスンをしてるシーンなども
臨場感のあるカメラワークだから
まるで自分も一緒にレッスンを受けてる気分になれるのだ。

ただね、それをちょっとホラーチックに
撮影してるもんだから、
足の爪が割れたり、そういう痛々しいシーンも
数多くあって、目を背けそうになるかなー。
でも見ちゃったけど。

あとね、音楽も凄く良いよ。
やっぱりチャイコフスキーはいいね。
スワン・レイクは改めて聞いても
やっぱいいなあって思った。
クライマックスで流れるあの有名な旋律も
すごく気分を盛り上げてくれるし。
とにかく素晴らしい。
でも映画を見て以来頭の中をあの
チャーチャララララーララーが
ずーっと掛かってて。笑
とにかく頭の中がチャイコフスキーだよ。

そして、そして。
ナタリーってば凄いなあって思った。
ダンスの経験があったとしても
あそこまでやり切れるのは
半端無いほどの練習のたまものだろうと思うし
やりこなせるその力はさすがだよなあって思う。
映画そのもののよりも、ナタリーのその根性が
すごいなあって思ったね。
なんかね、スタイルとかもまるでバレエ・ダンサー
みたいな肉付きになってるんだわ。
背中とかそこらへんの肉付きがまさに。
どんだけストイックなんじゃろかー
って感心しちゃった。

そんなプロフェッショナル振りを
余すところ無く発揮しまくってる
ナタリーではあるんだけど。
けど。
このストーリーといい、設定からして
恐らくナタリーが演じてた主役のニーナは
もうちょい若い子なんじゃないかと
思えるわけで。
クロネコはバレエ業界には全く疎いけど
なんとなーく主役の子は
20代前半なのでは?って思って。
そうするとねえ、20代後半のナタリーってば
大写しになると肌の劣化が明らかでね。
引きのシーンだとかわいい美少女なんだけど
アップだとやはり20代後半だよなー
って分かっちゃうんだよね。
それって何だなかあって思って。
余計な指摘なんだろうけど・・・。

にしても。
バレエ業界って特殊な世界だなあって
思っちゃうね。
世俗から切り離されてるというか。
ナタリーが母の束縛から逃れたくて
クラブに行くシーンがあるんだけど
そこでの会話がまさに、それを象徴するシーンで
監督はそれを描きたかったんだろうなあ
って何となく思った。
ナタリー演じるニーナは完全純粋培養された
ダンサーガールでありました。
で、その雰囲気を完全にかもし出せる
ナタリーはやっぱりすごい女優さんなんだろうねえと。
でも彼女がもともと持ってる真面目な
雰囲気があるから、ある意味そんなに
役作りをしなくても、出来たといえば出来たのかも。
やっぱり一番大変だったのはバレエかなあと。

娘に異常に固執する母が怖かったわ。
娘はもう大人になってるのに、
スウィートガールのままだと思い込んでる。
でも母を好きなナタリーは母の愛を
払いきれない。
そしてなかなか精神的に母から脱皮できない。
そんで、それが一因でブラックスワンが
踊れないんだよね。
部屋中にぬいぐるみがあって、
ピンク色に飾られたところから
脱出せねば!ってことで、
ナタリーは最後はママを断ち切るわけなのだ。
映画評/「ブラックスワン」_c0016407_3235288.jpg


そして無邪気に近づいてくるライバルのリリィ。
彼女は奔放な性格であるぶん、
ブラック・スワンを踊りこなせる技量があると
振付師も言ってて、それがまたナタリーを
悩ませる。
親しく近づいてくるリリィが優しい人なのか
自分の座を脅かす存在なのか、
これまた疑心暗鬼になるナタリー。
女社会は厳しぃー。
つーか、リリィは背中にでっかい白鳥の羽が
黒々とタトゥーで入ってる役なんだけど、
本格的なバレリーナがあんなデカいタトゥーを
入れててもいいんだろうかね?
って終始映画を見ながら気になっちゃった。
多分本当はダメだよね?!

このリリィの役を演じたミラ・クニスは
ナタリーのリアル・お友達なんだそうで。
この役もナタリーが紹介したんだって。
彼女はスタイル抜群で美しい子なんだけど
顔がどうにも流行り系と言うか
ちょっとビッチな雰囲気があるから
長くは活躍しないんじゃないかなー
って気がした。
まあ、実際は違うにしても清純派な雰囲気を
完全にかもし出せるのはナタリーくらいだから
多少ビッチ風でもいいのかもしんないけどね。
この役と実際の雰囲気はまさにシンクロしてる。
映画評/「ブラックスワン」_c0016407_3334490.jpg


清純派な雰囲気の女優といえば・・・
映画見てるときは一切気がつかなかったんだけど、
昨日、プレミアムの映像をウェブで見てて
ある女優が出てることにやっと気がついた!

ナタリー演じるニーナが新プリマドンナに
なったせいで、それまで主役を張ってたバレリーナが
引退させられることになるんだけど。
バレエカンパニーとしては若返りを図りたくて
普通にやってる事だけど、
その引退を余儀なくされたバレリーナとしては
大変面白く無いってことで、
かなりうっとおしく絡んでくるし、
恨みがましく振り付けしの車に飛び込んで
半身不随になっちゃう人がいるんだわ。
それがこの人。↓
映画評/「ブラックスワン」_c0016407_3373316.jpg

こうやって画像で見るとすぐ分かるけど
映像だと分からんかったわー。
しかも久々すぎて意表をつかれた感じだったしね。
そう。
ウィノナ・ライダーだよ。
映画評/「ブラックスワン」_c0016407_3391991.jpg

懐かしすぎー。
万引き事件以来名前を聞かないなーって思ってたけど
フィルムグラフィーを見たらコンスタントに
出演してるっぽいから、復帰してたんだね。
まさに、かつて華やいでた人が落ちぶれたっていう役が
ぴったりではあるよね。

それにしても。
ナタリー・ポートマンってレオン以来
ずーっとショウビズの世界で第一線に
居る割には真面目だよね。
普通子役で成功しちゃったら
親も金を掴んでおかしくなるのが普通だし
本人もチャラチャラした雰囲気に飲まれるのに
頑張ってるよなーって思ってたんだけど。

ウィキペディア見て納得した。
イスラエル生まれのユダヤ人だそうで。
なるほどにもほどがあるね。
しかもNYでユダヤ人学校に通ってただなんて
アーミッシュ顔負けの厳しい戒律で有名な
バリバリのユダヤ人だよ。
他の地域のユダヤ人の比にならないほど厳しいらしいよ。
恐らくNYとロンドンとイスラエル以外の
ユダヤ人はかなりゆるいから
自由が多いと思うけど、この特別なエリアの
ユダヤ人は半端無いんだよねー。
本当はユダヤ教以外の人とクチをきいちゃ
いけないらしいんだけど。
だからナタリーがああいう感じなのは当たり前で
むしろ厳格なユダヤ人からしてみたら
かなり世俗に毒されてると見られてるかも。

でも確かにアングロサクソンぽくない
顔つきだなあーって思ってたので
ある意味納得かも。


はてさて、アタイの映画評価は・・・
☆☆☆の星3つかなー。

映像、音楽、ダンス、演技と
全部いいんだけど。
ストーリーがどうにもねえ。
バレエと言う閉ざされた世界の中で
もだえるバレリーナの精神世界の話だから
イマイチダイナミックさとか、
スペクタクル性とかに欠けるのよね。
まあ、それを描きたかったんだろうけど
アタイはあんまそういうの興味が無いので
見終わっても、
プレッシャーとの戦い方もあんま参考にならんしなー
としか思えなくて。
なので☆がたったの3つなのだわ。
アカデミー賞とるかもしれんが
アタイの中ではそんな感じです。
by kuronekomusume | 2011-02-28 03:51 | 映画評 | Comments(1)
Commented at 2011-03-02 04:51 x
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